2012年5月20日日曜日

「VIVO!」瀬川藤子、レビュー

店頭のお試し版が結構好みな感じだったので、1,2巻とも購入。
マッグガーデンハウス?ってどこの出版なのか…といろんな棚をうろうろしてたら「flat(青桐ナツ)」と「あまんちゅ!(天野こずえ)」と同じ出版社だった。flatのほうは新刊出てなかったけど、あまんちゅ!は4巻を買っていなかったので一緒に購入。
その他にローゼンメイデンの6,7巻と這いよれニャル子ちゃんタイム1巻を同時に。
帰ってきてからローゼンメイデン6巻は持っていたことが判明。
…よくあることだよね!

さて、VIVO!はすでに三回ほど読み返してしまって、かなり好みなのかそれともこの話が学園モノで郷愁をさそうからなのかわかりませんが、とりあえず三回も読んでしまったのでレビューでもしようかなと思い立った次第。

とりあえず一話のあらすじ。
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教職免許を持ちつつも教師ではなかった仲村渠豊寛(なかんだかり とよひろ、「めんどくさいから」通称ナカムラ)が、すでに教師であり高校時代の先輩であり友人の井崎に半ば強引に教師にさせられたところから始まる。
三年の担任であった「吉井先生」と一緒に、その引継ぎの先生として、引きこもりになってしまった住吉結子の家へ(嫌々)向かう。

ナカムラは教師になるのも嫌で、引継ぎもあるとは聞いておらず、井崎に言われて仕方なく住吉の家へ行ったのだが、そこで「吉井先生」の「学園ドラマのようなきもちわりぃノリ」を見せられたことを一日を終え迎えてくれた井崎と孝太郎(同じ学校で用務員をしている。ナカムラのパシリ)に愚痴る。
住吉がその「学園ドラマのようなきもちわりぃノリ」に耐え切れず引きこもりだしたことを井崎はナカムラに伝え、気にかけてやってくれと笑顔で脅迫する。

次の日、また「吉井先生」に呼び出され嫌々ながらもう一度住吉の家へ行ったナカムラは、住吉を「結子!」と呼び顔が見たいとドアの前で叫び続ける「吉井先生」にキレ、住吉が吉井を気持ち悪いと思っていること、吉井が他人のことも考えず「自分のしたい学園ドラマ」を押し付けていること、教師として失格であること、を並べ立て、あげく女子高校生なんて理解できるものじゃない、と吉井の「理想」を突き崩す。
吉井はそれを受け入れられず住吉を「結子」と呼び、そんなことないよな、と頼るが住吉に「名前で呼ばないで気持ち悪い!」と言われ玉砕。
顔を見せた住吉にダブるのもやめるのも自由だが卒業したいなら日数計算して自分でどうにかしろ、と伝えナカムラは帰る。
住吉はナカムラがけしていい先生ではない、のはわかっていたが、かまわないでくれるらしいナカムラを悪い先生ではないのかも、とぼんやりと学校へ行く決意をする。

その後、ナカムラは部活顧問もしなければならなくなり、「ある程度めんどくさくない同好会」を、名前だけ書けと言われて書いた住吉、天文部で熱心な先生に脅迫されかけていた幽霊部員の佐野、絵にしか興味がなく周りを遮断して絵だけを描き続けていた蓮田、を集めて「なにをやってもいい同好会(正式名称はもっと長くて何だかわからない同好会)」を作り、人のいい佐野を半分いいように使いながら学校生活を切り抜けていく。
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ナカムラは学校にも生徒にも興味がなく、自分に面倒さえかけなければいい、という教師としてどうか、というタイプだが、見る所はきちんと見ている様子。見ているだけで行動は殆ど起こさないが。やらなければならないことはたいてい他人を使い、自分の居場所さえ確保できていればそれで良い様子。
住吉や蓮田にとってはそれが心地いいようで、心をひらいていく様子も見られる。
佐野は基本的にイイヤツ、なのでいいようにナカムラに使われているが文句は言えど、住吉や蓮田への気遣いは忘れない。同じように使われている用務員の孝太郎とともにVIVO!の良心。

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二巻ではバレー部をやめたがっていた体育会系一年の蒔田が同好会に加入し、また同時期に蓮田にコナをかける田辺という女子が現れ、にわかに住吉の周りが主に女子で騒がしくなる。
人の、特に女子の苦手な住吉は、男のほうがまだ割りきって仲良くなれるが女の子は怖い、と井崎に相談。井崎は何とかしろとナカムラをたきつけるがそんなのは蒔田でもそのへんに放っておけばどうにかなると構わない。
実際に井崎が蒔田に話を聞くと本当に意外なことに蒔田自身のことも、住吉のことも、また田辺のこともよくわかっていることがわかる。
その後田辺が住吉に詰め寄っているのを蒔田と蓮田が発見、佐野を連れて解決まで持っていき、蒔田と住吉が和解する。
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大体のあらすじを書いてしまったけれど、まあその他にもエピソードはあるのでぜひ読んでほしい。
住吉が学校に出てくるようになってからは学校生活でありがちな女子の同調圧力がリアルに描かれている。
そのリアルさが気持ち悪いとも思うがまた魅力でもあるのだろう。
住吉さんの本への愛情、蓮田への絵への熱情、佐野の周り全てへの気遣い、蒔田の悩みとふっきれてからの清々しさ。生徒たちの奮闘がとても美しいと思う。
ナカムラに関してはまあ何も言うまい、というか脇役なのかというくらい存在感が薄い。他人を使っているせいで何もしていないように見える。彼は彼なりに生徒を見て考えているようではあるが、実際に動くことは佐野や蒔田に任せているので事実何もしていない。彼は自分に迷惑さえかけなければ生徒が何をしてもいいと本当に思っている。
二巻には過去のナカムラが載っているのでその辺りも見所だと思う。高校時代から何一つ変わらないナカムラがそこにいる。

この漫画の主人公としてはナカムラなのだが、実際はリアルな心情と共に動く生徒たちを見る漫画であろう。ナカムラを中心とした同好会の生徒たちの動向、とでも言うか。
なにせナカムラが同好会以外に学校の活動に興味を示さないのでそのあたりは描かれないのだ。描かれるとすれば井崎が無理矢理に押し付けた何か、あるいはナカムラに無理矢理関わってきた何か、であろう。


一年だけ、という約束だったはずの教師生活が来年もほぼ確定したナカムラが今後どうなるのか、授業には出られずともテストだけは受けると決めた住吉がどうなるのか、特待生蓮田はどうするのか、佐野…は恐らく順調に進学か就職かするだろう、蒔田は念願の住吉と友人関係になれてこの後どうするのか。
次巻を楽しみにしたいと思う。





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